兵庫県豊岡市にある出石は「但馬の小京都」と呼ばれる城下町です。歴史ある町並みとともに有名なのが、出石名物の「出石皿そば」。

出石の中心部には多くのそば店が集まっているため、初めて訪れると「どのお店で食べればいいの?」と迷ってしまうと思います。
私も実際に出石へ行き、歴史ある老舗を含め複数のそば店を食べ歩いてみました。
同じ出石そばでも、そばの太さや色、つゆ、薬味、そば湯まで店によってかなり違います。
この記事では、出石そばの歴史や食べ方、1人前の皿数を紹介したうえで、実際に食べ歩いた5店舗の特徴と出石の観光スポットについて紹介します。
出石そばとは?皿そばの特徴を簡単に解説
出石そばの大きな特徴は、一人前のそばが一枚のせいろではなく、何枚もの小皿に分けて提供されることです。
一般的には5皿で一人前。出石焼の白い小皿にそばが盛られ、徳利に入ったつゆと、ねぎ・わさび・とろろ・卵・大根おろしなどの薬味を使いながら食べます。
一見すると「5皿では少ないのでは?」と思いますが、食べ足りなければ追加注文できる店が多いため、最初は一人前から注文してみるのが分かりやすいでしょう。
出石そばは5皿で1人前が基本
出石皿そばは基本的に5皿一組で一人前です。
ただし、5皿ですべて終わりというわけではありません。
食べられる量に合わせて皿を追加していくのも出石そばの楽しみ方のひとつです。
店によってそばの太さや量にも違いがあるため、何軒か食べ歩きたい場合には、最初から大量に追加しない方が楽しみやすいと思います。
なぜ小皿に盛られているの?
現在のような皿そばの形になったのは幕末頃といわれています。
屋台でそばを提供するとき、持ち運びに便利な「手塩皿」と呼ばれる小皿に盛ったことが始まりとされ、その後、出石焼の白い小皿にそばを盛る現在のスタイルが定着しました。
店によって使われている皿のデザインも異なるので、食べ比べるとそばだけでなく器の違いも楽しめます。
出石そば(皿そば)の歴史

出石皿そばの歴史は江戸時代まで遡ります。
宝永3年(1706年)、信州上田藩の仙石政明が出石へ国替えとなった際、信州から来たそば職人の技法が、もともと出石にあったそば打ちの技術と合わさったことが始まりとされています。
信州と出石、それぞれのそば文化が融合して生まれたのが現在の出石そばというわけです。
現在では町中に多くのそば店が並び、それぞれの店が独自のそばやつゆを提供しています。
出石そばの「三たて」とは
出石そばについて調べているとよく目にするのが「三たて」という言葉です。
三たてとは、
「挽きたて」
「打ちたて」
「茹がきたて」
の3つ。
出石では、この三たてを大切にしているそば店があります。
今回食べ歩いた店の中でも、それぞれそば粉や打ち方にこだわりがあり、同じ皿そばとは思えないほど食感や風味に違いがありました。
出石そばの食べ方|薬味を入れる順番も紹介
出石そばは好きなように食べてもいいのですが、初めてなら少しずつ味を変えていくと、そばそのものの味から薬味との組み合わせまで楽しめます。
出石観光協会でも、最初はそばとつゆだけ、その後にねぎやわさび、さらに山芋や卵を加えて、最後はそば湯で締める食べ方が紹介されています。
まずはつゆだけでそばを味わう
最初から薬味を全部入れてしまうのではなく、まずはそばとつゆだけで食べてみるのがおすすめです。
店によってそばの香り、太さ、コシがかなり違います。
つゆについても、濃いものから比較的あっさりしたものまで違いがあるため、まずは少量つけて食べてみると分かりやすいです。
ねぎやわさびで味を変える
続いて、ねぎやわさびなどの薬味を加えます。
今回訪問した店の中には、本わさびとおろし金が出てきて、その場で自分ですりおろして食べられるところもありました。
薬味を少し加えるだけでも、最初とはかなり印象が変わります。
とろろや卵を加えて楽しむ
さらに、とろろや卵をつゆに加えて食べます。
出石そばでは、とろろや卵まで薬味として用意されている店が多いのが特徴です。
最初から全部入れず、数皿ごとに味を変えていけば、皿数が増えても飽きずに食べられます。
最後はそば湯で締める
そばを食べ終わったら、最後はそば湯。
個人的には、このそば湯も店による違いがかなり大きいと感じました。
白く濃厚なそば湯もあれば、比較的さらっとしたそば湯もあります。
そば湯好きなら、そばだけでなく最後のそば湯まで比較してみると面白いと思います。
出石そばは何皿食べる?1人前の目安
出石皿そばは5皿が一人前です。
そこから食べられる分だけ追加していくのが基本。
私のように複数の店を食べ歩きたい場合は、一軒目からたくさん追加するのではなく、何店舗か回れるように調整するのもひとつの方法です。
また、出石には複数のそば店を少量ずつ楽しめる「出石皿そば巡り」もあります。
出石皿そば巡りで老舗を食べ比べ

出石には多くのそば店があるので、その中から一軒を選ぶのはなかなか難しいものです。
そこで便利なのが「出石皿そば巡り」。
私が出石を訪れたときにも利用しました。
現在、観光協会では皿そば巡りができる店を38店舗案内しています。専用の巾着に永楽通宝が3枚入っており、1枚につき1店舗で皿そば3皿を食べられる仕組みです。
公式案内では巾着セット2,000円(税別)となっており、永楽通宝は1軒につき1枚、有効期限は発売から3カ月です。
普通に一人前ずつ注文すると何軒も回るのは大変ですが、3皿ずつなら店ごとの違いを比較しやすいのが魅力です。
私もこの仕組みを利用しながら、実際に複数の店を回ってみました。
出石そばの老舗・人気店を実際に5店舗食べ歩き
今回訪問したのは、本家出石皿蕎麦 よしむら、そば庄、出石手打ち皿そば 官兵衛、出石そば 如月、そして本陣鶴屋として訪問した場所です。
現在、同住所では出石皿そば 本陣鸛屋として公式サイトが案内されています。
実際に食べたときの印象を簡単にまとめると次のようになります。
| 店 | そば | つゆ | 薬味・特徴 | そば湯 |
|---|---|---|---|---|
| よしむら | やや黒め・標準的な太さ | カツオが効いた濃いめ | 山芋・卵・わさびなど | 比較的あっさり |
| そば庄 | やや黒め・二八そば | やや辛め | 本わさび | かなり濃厚 |
| 官兵衛 | やや白め・風味あり | あっさり | 本わさび・赤玉の卵 | かなり濃厚 |
| 如月 | 黒く太め | カツオと昆布のまろやかな味 | 本わさび・辛味大根 | 比較的あっさり |
| 本陣鶴屋 | 訪問時は食事とお土産を確認 | ― | お土産のそば・駐車場が印象的 | ― |
よしむら

よしむらは出石でも歴史の長いそば店で、桂小五郎の潜居跡に近い場所にあります。
そばはやや黒めで太さは一般的。
そばの香りがものすごく強いという感じではありませんでしたが、喉越しがよく、食べやすいそばでした。
薬味は山芋、卵、わさび、ねぎ、大根おろし。
つゆはカツオ出汁が効いた濃いめの味です。
個人的には、そば全体をつゆにつけてしまうより、少しだけつけて食べる方がそばの味を楽しめました。
そば湯は比較的さらっとしており、濃厚というより飲みやすい印象です。
現在、出石観光協会では営業時間10:00~18:00、火曜日定休(祝日の場合は営業し翌日休み)として案内されています。
住所:兵庫県豊岡市出石町宵田22
そば庄 鉄砲店

そば庄は昭和41年創業。
当時、出石にあったそば店が冬の新そばシーズンを中心に営業していた中、「一年中そばを食べられる店を」と開業したそうです。
ミシュランガイド2016兵庫特別版ではビブグルマンを獲得しています。
皿そばは二八そば。
やや黒めのそばで太さは標準的。喉越しがよく、ツルツルと入っていきます。
薬味は山芋、ねぎ、大根、わさび、生卵。
訪問時は静岡県産の本わさびが使われていました。
つゆはやや辛めだったので、こちらも個人的には少しだけつけて食べる方が好みでした。
そして印象的だったのがそば湯。
かなり濃厚で、そばの風味をしっかり感じられます。
そば湯が好きな人なら最後まで楽しめる店だと思います。
現在の公式案内では11:00~18:00、ラストオーダー17:30、水曜日定休。駐車場も15台用意されています。
住所:兵庫県豊岡市出石町鉄砲27-13
官兵衛

官兵衛は、入口を入るとそばを打っている様子を見ることができたお店です。
訪問時には、その日の朝に挽いた粉を使い、「挽きたて」「打ちたて」「湯がきたて」の三たてを実践していると紹介されていました。
知り合いから「美味しかった」と教えてもらったこともあり訪問。
平日に行ったのですが、13時過ぎには売り切れになっていました。
そばはやや白め。
白いそばというと比較的風味が穏やかなものもありますが、官兵衛のそばはしっかりとそばの風味を感じられました。
薬味は山芋、ねぎ、本わさび、生卵。
訪問時には生の本わさびとおろし金が添えられていて、自分ですりおろして食べることができました。
つゆは比較的あっさり。
そばの風味を邪魔しにくく、今回回った中でもそばそのものの味が分かりやすかった印象です。
そば湯はそば庄と同じくかなり濃厚でした。
現在、出石観光協会では10:00~、不定休として案内されており、別の地域情報では16:00まで・そばがなくなり次第閉店とされています。
売り切れることもあるため、官兵衛を目的に行くなら早めの時間帯を意識した方がよさそうです。
住所:兵庫県豊岡市出石町八木68
如月(きさらぎ)

如月は官兵衛の近くにあるお店です。
訪問時には低速石臼挽きのそば粉と湧水を使ったそばを提供しており、家庭的で落ち着いた雰囲気でした。
そばは黒くて太め。
今回、味まで比較した4店舗の中では一番噛みごたえがあり、個人的には少し稲庭うどんを思わせるような弾力を感じました。
つゆはカツオと昆布を使ったまろやかな味。
薬味は訪問時、山芋、うずらの卵、わさび、ねぎが基本で、卵が食べられない場合には大根おろしへ変更してもらえました。
本わさびとおろし金も出てきたので、自分ですりながら食べられます。
そば湯は比較的透明感があり、濃厚なそば庄や官兵衛とは対照的でした。
現在、出石観光協会では営業時間10:00~17:00、水曜日定休として案内されています。
住所:兵庫県豊岡市出石町八木23
本陣鶴屋

私が訪れたときは「本陣鶴屋」として営業しており、特に印象に残ったのがお土産用のそばでした。
また駐車場があり、車で出石を訪れたときに利用しやすかったのもポイントです。
現在、同じ豊岡市出石町八木16には「本陣 鸛屋(つるや)」の公式サイトがあり、営業時間は通常10:00~16:00、土日祝日は9:30~17:00、定休日は木曜日と案内されています。専用駐車場も普通車5台分あります。
昔の記事を見て「本陣鶴屋」を目的に訪れる場合は、現在の店名や営業状況を確認してから向かうことをおすすめします。
住所:兵庫県豊岡市出石町八木16
5店舗を比較|どんな人に向いている?
今回食べ歩いて感じたのは、出石そばは「どこで食べても同じ」ではないということです。
歴史ある雰囲気の中でそばを食べたいなら、よしむらのように城下町の歴史を感じられる店があります。
濃厚なそば湯まで楽しみたいなら、私が訪問したときはそば庄と官兵衛が特に印象に残りました。
本わさびを自分ですって食べる楽しさなら官兵衛や如月。
太く噛みごたえのあるそばが好きなら如月のようなタイプもあります。
このように「有名な店だから」というだけで選ぶのではなく、そばの太さ、つゆ、薬味、そば湯などから自分の好みに合いそうな店を探すのも出石そばの楽しみ方です。
出石そばの老舗を選ぶときのポイント
出石にはたくさんのそば店があるので、一軒だけ選ぼうとすると迷います。
そんなときは、いくつかポイントを決めておくと選びやすくなります。
そばの太さや風味で選ぶ
細めで喉越しのいいそばが好きなのか、太く噛みごたえのあるそばが好きなのかで印象はかなり変わります。
私が回った店だけでも違いがはっきりありました。
つゆの濃さで選ぶ
出石そばは、店ごとにつゆの味も違います。
濃いめのつゆにそばを少しだけつけて食べる店もあれば、あっさりしたつゆでそばの風味を楽しめる店もあります。
薬味や本わさびで選ぶ
卵、とろろ、大根おろしなど、薬味の内容も店によって違います。
本わさびを自分ですりおろせる店は、それだけでも少し特別感があります。
そば湯で選ぶ
意外と違うのがそば湯。
濃厚なものと比較的さらっとしたものでは、最後の印象まで変わります。
そば湯が好きな人はここもチェックしておきたいところです。
皿そばの証とは?たくさん食べるなら挑戦
出石そばには、たくさん皿そばを食べると「皿そばの証」や「そば通の証」などをもらえる店があります。
以前の記事では「どの店でも20皿以上」と紹介していましたが、現在はこの書き方では正確ではありません。
条件は店舗ごとに異なります。
大人20皿を基準にしている店もあれば、男性30皿・女性20皿としている店もあります。
挑戦したい場合は、食べ始める前にその店のルールを確認してください。
出石そばは皿が積み上がっていくので、普通のそばとはまた違った楽しさがあります。
出石そばを食べるなら混雑・売り切れにも注意
人気店を目当てに出石へ行くなら、時間には少し余裕を持っておいた方がいいと思います。
私が官兵衛を訪れたときは平日にもかかわらず13時過ぎには売り切れていました。
現在も官兵衛については「そばがなくなり次第閉店」と案内されています。
また、営業時間や定休日は変更されることがあります。
特に遠方から特定の店を目的に訪れる場合には、出発前に公式サイトや観光協会、店舗への電話などで最新情報を確認しておくのが確実です。
そばと一緒に楽しみたい出石の観光スポット
出石の魅力はそばだけではありません。
但馬の小京都と呼ばれるだけあって、中心部には歴史ある町並みや建物が集まっています。
そばを食べた後、そのまま歩いて観光できるのも出石の魅力です。
観光協会では、出石城跡、出石家老屋敷、辰鼓楼などを回る約1時間の散策コースも紹介しています。
辰鼓楼

出石を代表する風景のひとつが辰鼓楼です。
辰鼓楼は明治4年(1871年)、旧三の丸大手門脇の櫓台に建てられました。
明治14年に大時計が寄贈されてから時計台として親しまれ、現在も出石のシンボルになっています。
出石へ来たなら一度は見ておきたい場所です。
出石城跡

出石城跡は城下町を感じられる代表的なスポットです。
石段を登り、朱色の鳥居が並ぶ場所から振り返ると、出石の町並みを見渡すことができます。
そば店が集まる中心部から歩いて行けるため、食後の散策にも向いています。
出石家老屋敷

出石家老屋敷は、江戸時代後期の上級武士の居宅です。
外から見ると平屋のように見えますが、内部には隠し階段があり2階建てになっています。
2階は刀を使いにくくするためと考えられる低い天井になっているなど、実際に見ると面白い工夫があります。
出石の歴史に興味があるなら、そばと一緒に立ち寄ってみると楽しめると思います。
出石へのアクセスと駐車場
車で出石へ向かう場合、観光協会では大阪・神戸・京都から約3時間、姫路から約2時間を目安として案内しています。
公共交通機関では豊岡駅・江原駅・八鹿駅などから全但バスを利用して出石へ向かう方法があります。
出石の中心部は徒歩で観光しやすいので、車の場合は一度駐車場へ停めて、そば店や観光地を歩いて回る方法が便利です。
以前の記事では大手前駐車場を普通車400円と紹介していましたが、現在、観光協会の案内では大手前駐車場は普通車500円です。
西の丸市営駐車場などは普通車400円となっています。
昔の記事を参考に出石へ行く場合は、この駐車料金の変更にも注意してください。
まとめ|出石そばは老舗を食べ比べるのも楽しい
出石そばは、小皿5皿を一人前として、薬味を加えながら味の変化を楽しめる出石ならではのそばです。
実際に何軒か食べ歩いてみると、同じ「出石そば」でも、そばの太さや色、コシ、つゆ、薬味、そば湯まで店によってかなり違いました。
一軒の老舗でじっくり味わうのもいいですが、迷っているなら皿そば巡りを利用して複数店を食べ比べてみるのも面白いと思います。
そして、そばを食べた後は辰鼓楼や出石城跡、家老屋敷などを歩いてみると、城下町・出石の雰囲気まで一緒に楽しめます。
初めて出石へ行くなら、まず5皿の皿そばを味わい、気に入った店で追加する。
そんな食べ方から始めてみてはいかがでしょうか。














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