前回、相続税の節税対策を紹介しましたが、実際に親や配偶者などが亡くなれば、預金の名義書き換えや税の申告をしたりと色々身近ではない手続きをしなければなりません。この手続き、実に面倒くさくて預金や株式などの手続きは自分でしたものの不動産の登記などは専門家にお任せしました。
そんな相続の手続きと費用、借金が残るようであれば相続放棄の手続きを紹介します。
相続の手続きや期限とは
相続の手続きにはまず、財産を遺族が引き継ぐための手続きがあります。これが遺産相続と言われるもので、最初に法定相続人を確定します。これは故人が亡くなってから3ヶ月以内に行う必要があり、出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。本籍地を変更したことがある場合、これがやっかいで遡っていくと離婚していて子供がいたなんてこともよくあります。
同時にしなければならないのが、財産の把握です。銀行預金が複数あったり、先祖代々の土地で自分が把握していないものなどが意外にあったりします。
次に進むと「遺産分割協議書」の作成が手間です。遺言書がない場合、法定相続人が話し合って遺産の分け方を決めて書類を作成する必要があります。一人でも欠けると相続が行き詰まってしまいます。協議が滞りなく出来たとしてもこの書類を正式な書面にすると行政書士などに依頼する方が細かい規定があるので良いです。協議書がないと銀行の解約、不動産の名義変更などが出来ないので重要な書類です。
最後に一番か費用がかかるであろうものが相続税の申告です。前回、相続税の節税方法のところで触れましたが、基礎控除の枠が2015年から約40%縮小されているので、相続税を払う対象の方が増えています。また、配偶者には1億6千万円まで非課税になる特例措置がありますが、これも税務署に申告書を作成して認められることが条件です。申告書の手続きを亡くなってから10ヶ月以内にする必要があります。
相続の手続き費用はどのくらいかかるのか
今までの相続手続きを全て司法書士や行政書士に依頼した場合の費用はどれくらいかかるのかが気になるところ。法定相続人の確定と財産の把握は依頼すると行政書士の場合、併せて約6万円が相場です。遺産分割協議書も同様で6万円前後が相場のようです。
最後の申告書の作成費用は以前、代行費用に上限額がありましたが、撤廃され相場が安くなったと言われていますが、遺産総額の1%という例もあるので、1億円なら100万円という感じです。
相続放棄の手続きはどうするのか
相続放棄は相続の手続きとは違い、基本的に相続が発生してから3ヶ月以内に手続きをしなければなりません。相続放棄の手続きをするには、家庭裁判所に出向いて申請書類とともに届出をする必要があります。また、届出をするだけでは駄目で家庭裁判所にその届出を認めてもらうことが必要です。
提出先は、亡くなった人の住民票がある場所を管轄する家庭裁判所に届出を提出必要があります。提出書類は相続放棄申述書、亡くなった人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本、亡くなった人の住民票除票または戸籍附票、届出をする人の戸籍謄本、収入印紙800円分、郵便切手などです。
上記書類を家庭裁判所に提出すると照会手続があります。この手続きは、裁判所によって方法が異なり、省略されたり、逆に面談を要求される場合などがあります。放棄が認められると相続放棄申述受理通知書という書類が、家庭裁判所から送られてきて相続放棄が成立します。
借金の債権者に対して家庭裁判所が通知してくれるわけではありませんので、債務者には自分で通知する必要があります。
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